たまごのからむ記

たまごの殻を破るように毎日新しい今日を生きる。

香水が苦手な人にお薦めしたい香りの世界。

「香水」と聞いてどんなイメージが浮かびますか?

いい香り、華やか、癒される、色っぽい・・・っといったプラスのイメージを持つ人もいる一方で逆に、キツイ匂いが迷惑、酔う、頭痛がする、ギラギラしたイメージが苦手!といったイメージを持つ人も多いのではないでしょうか。
 
確かに街には様々な香りが溢れかえっていて、例えば満員電車など閉じられた空間に充満する香水臭や、飲食店での強い香りはマナー違反になることもあり、香りの好きな私でも迷惑だなぁ・・・と感じることが多々あるくらいなので、元々香水に興味がない人や、好きじゃない!という人にとってはそういった「迷惑」なイメージの方が先行するのは大いにうなずけます。
 
でも今日はそんな「香水嫌い」の方にあえて、本当の香水の魅力や香水の楽しみ方、香水にもいろんなタイプのものがあるんですよ、ということを知ってもらいたくてこの記事を書くことにしました。
 
 
 

1.日本での香水のイメージ

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前述したように、デパートのフレグランスコーナーにたくさんの香水好きが集まる一方で、香水は匂いがキツイから苦手!迷惑!という人が多いのが現実。町で遭遇する香水のキツイ人に迷惑してイメージがそんな風に固定されてしまうのも無理ありません。
実際香水の強すぎる香りや場違いな使用が他人に不快感を与えてしまっているというケースは多々あります。
 
また、そういった実際的な不快感のほかにも「香水」そのものが持つイメージが苦手という人も多いのではないのでしょうか。
石鹸や洗い立ての洗濯物の香りは爽やかで好きだけど、香水はちょっと・・・。という感じに。
香水って「夜の街、夜の男/女」が似合いそうななんだかギラギラしたイメージ、フェロモン全開でお色気むんむんなイメージがして自分には似合わない。そんな風に考えてる人も多いんじゃないかなって思います。
 
でも実際はそんなことないんですよ、というのが今日のお話しです^^
香りの種類って実はものすごくたくさんあるんですよ。王道のフローラルノーシトラスノート、エキゾチックで官能的なオリエンタルノーや粉おしろいのようなパウダリーノートといった香りもあれば、植物の葉のような爽やかなグリーンノート、樹木のあたたかみを感じさせるウッディノート、水や海を彷彿させるアクアノートなど他にも挙げればきりがないほど。
夜の街のネオンよりも、太陽の光や静かで落ち着いた場所にこそ似合う香りって実はたくさんあるんです。
 
そして、香料の質(天然/合成やその配合量の違い)や、香水の使用量つける部位などによって香り方とか香りの強さは全く違ってきます。全ての香りが同じように強く香るわけではなく、自分だけに分かるつけ方や、ハグするくらいの距離感の人にだけ香るつけ方など色々選択&調節ができるのが香水の楽しさでもあるんです。
 
嗅覚は脳に直結している、と言われることがありますが、もしそうであれば身に纏う香りを上手に選択して感情に強く訴えかけると言われている嗅覚に働きかけることで、自分のその日の気分や感情をちょっとだけ上手くコントロールできるようになるってことになりますよね。
 
フランスの小説家マルセル・プルーストの作品失われた時を求めての中でも、マドレーヌを紅茶に浸したときに、突如その香りから主人公の幼いころの記憶が鮮やかに蘇る、という描写があり、これがのちにプルースト効果と呼ばれるようになったようですが、嗅覚と脳とはとても強い繋がりがあるようですね。
そんな意味でも香水を身に纏う楽しさは表面的なもの以上に内面的な楽しさも持つものだとも言えます。
これが私がたくさんの人に香水の魅力をもっと知ってもらいたいと願う理由の一つです。
 

2.香水に込められた魅力的な「ストーリー」

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(上の写真はコレクションの一部)

素敵な香水たちは、その一つ一つがそれらのイメージを伝える「ストーリー」を持っています
香り選びをするときは直接身につけた時の香り方や第一印象が最も重要になるのはもちろんですが、それに込められた「ストーリー」を知ることでそれが持つ空気感をイメージしやすくなるので、楽しみ方がより一層広がります。
例えばパリのフレグランスメゾン”GOUTAL“(グタール)のローズポンポンという香りのストーリーは:
玉石が敷き詰められたロジエ通りから聞こえてくるのは、カフェテラスの笑い声やお店の売り子の元気な声。温かな日差しのもと、ツタを伸ばした薔薇があちらこちらに花開いています。
風に揺られた薔薇と、甘く酸味のあるペイストリーのような、生命力あふれる爽やかな香りです。
 
NYのフレグランスメゾン”Bond no.9”(ボンドナンバーナイン)のセントオブピースのストーリーは:
2001年9月11日のテロ事件以来、“平和” という言葉に敏感になったニューヨーク。
犠牲となったNYが世界に発信できるメッセージ、それが世界平和。42丁目に位置する国連をイメージして。
 (※ストーリーの説明文は伊勢丹オンラインストアさんから引用)
 
といったように香水には使用されている香料の香調だけでなく、そのイメージを伝えるストーリーが設定されているものが多いんです。香りを直感で選んで身に纏うのも一つですが「意味を知って身に纏う」ことでよりその世界観に浸ることができますね。
 

3.香水の種類~オーデコロン、オーデトワレ、オーデパルファム、パルファンの違いって?

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一般的にはすべて「香水」とひとくくりで呼ばれることが多いですが、その濃度によって以下のように分類されています。

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価格も通常濃度の高い「パルファン」が一番高価でそこから下へ順に価格が低くなっています。
 
しかし、実際はこれらの濃度等はメーカーによって明確に統一されているわけではなくまちまちなので一概には言えません。
実際EDPでも持続時間の短いものや、逆にEDCでも持続時間が長いものが存在しますので、まずは試香するのがおすすめです。
 
こんな風に、香調だけでなく濃度にも色々あれば使用シーンやその日の気分に合わせて選択することがより一層容易になりますよね。
仕事の日デートの日夜のお出かけリラックスしたい休日の朝・・・。香りはシーンに合わせて使い分けできるものなんです。
 

4.香水って「香害」?

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「香害」という言葉を耳にすることがとても多い今日。
確かに、過剰な使用量や不適切なシーンでの使用は他人の迷惑になってしまいます。
でも香水を楽しみたい私にとっては「香害」という言葉を聞くことは少し悲しいことでもあります。
私はこれからも香りを楽しみたいし、他の人にもこの楽しさを知ってほしいなと思っているので「自分がどのくらい香っているか」を客観的に把握することはとても大事だと考えています。
それを把握したうえで、「①どの香りを②どのくらいの量③どこに④どうやって」つけるかを調節するだけで、人に不快感を与えずに香りをさりげなく、ふんわりと身に纏うことができるようになります。
 
簡潔にまとめると以下のような調節をすることができます。
①強めの香りの場合
少量を、腹部足首など身体のなるべく下のほうの部位につける。又は空中にシュっと一噴きしてその下をくぐるようにして香りを身に纏う。
②弱めの香りの場合
気持ち多めの量手首や首などにつける。一般に動脈が走っているところはその体温で香りが広がりやすくなると言われていますね。ただ、首は顔にとても近い部位なので最後に少しなじませる程度がおすすめです。微香性のものとはいえあまりダイレクトに香ると自分の香りに酔ってしまいます。
 

5.香水の楽しみ方色々

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香水には数えきれないほど多くの香調があります。毎日着る服を選ぶようにその日の気分にぴったりの香りを選んだり、逆にその香りを嗅ぐとそれがその人自身と直結されるような、とっておきの「自分だけの香り」を一つだけ見つけることも可能です。
 

その日の気候や気分に合わせて使い分ける

同じ香りでもその日の気候によって香り方や感じ方が違います
例えば普段甘い香りが好きだとしても、暑い夏の日はどうでしょうか。逆に冬の寒いときはシトラス系のフレッシュな香りがいまいちピンとこない、ということもあるでしょう。
あとは気分に合わせて例えば、仕事でシャキっとしたいときはグリーンノート、柔らかさや甘さを出したいときはフローラルブーケ、セクシーな雰囲気を出したいときは催淫効果があると言われるムスク。といったように使い分けるとなんだか魔法使いになったような気分で楽しいですね^^
 

「なりたい自分」をイメージして特別な一本を見つける

香水はそんなにたくさん欲しくない、一本あれば十分だという人も多いでしょう。それも決して間違いではないんですよ。
お気に入りの一本が欲しいな、と思っている時に自分にぴったり!の香りを見つけられたときほど嬉しいものはありません。
 
実際あれこれ試しても自分が本当に好きだと思える香りってそんなに多くはないものです。(私も元はこんなにたくさん集めるつもりはなかった・・・。)
いくつか試香しているうちに自分の好きな傾向が見えてきます。花束の香りのようなフローラル系が好き、森林を感じさせるようなシプレー系が好き、バニラやスイーツのような甘いグルマン系が好き・・・等々。
 
それと「なりたい自分」というのは結構マッチしているハズです。
優しく柔らかい雰囲気の人に憧れるのか、シャキシャキとしてはつらつとした雰囲気の人に憧れるのか。
「なりたい自分×好きな香調」で自分にぴったりの香りが見つかります。
こんな自分になりたいな、というのをイメージして香りを選ぶとなりたい自分を後押ししてくれますよ^^
 
それと、「市販されている香りはたくさんの人が使っているはず。それじゃ自分だけの香りとは言えないのでは?」という疑問もありそうですが、天然香料が使われた良質な香りはつける人の体温や体臭で香りが変化するのでそこは心配無用です。
 
また、身につけてみて「香りだけが立っている」「香りが独り歩きしている」と感じる場合はその香りが自分になじまない可能性が高いです。
これから香水を初めてみようかな、という初心者さんは試香して気に入ってもすぐに購入するのではなく、身につけた状態で是非一日過ごしてその香りが自分にマッチするかも確かめてみてください。
それと同時に、時間とともに香りがトップノート~ミドルノート~ラストノートと変化していく様子も楽しんでみてくださいね。
一日過ごしてみて、家に帰った後ときどきフワッと香る香りをやっぱり好き!と思えればそれが運命の一本になるかもしれません。
 

素敵な夜のひとときに「寝香水」

 

シャワーを浴びてベッドに入る前に香りを纏う「寝香水」という使い方があります。
かのマリリンモンローが記者からの「何を着て寝ているのですか?」という問いに「シャネルの5番よ」と答えたのはあまりに有名なエピソード。
もしあなたがベッドタイムにぴったりの香水を持っていたら、それをほんの少しだけつけてみるといいかもしれません。
あなたと特別な人だけが知る特別な香りがあるのも素敵じゃありませんか?
 

6. 香水を生み出す「調香師」”nez”

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フランスで”nez“(ネ)と呼ばれる人たちがいるのを知っていますか?
「ネ」とはフランス語で「鼻」を意味する単語です。
これはフランスで一流の調香師たちに贈られる称号なんです。
彼らはなんと数千種もの香りを記憶し、嗅ぎ分ける能力を持つ嗅覚がとびぬけて優れた天才です。
何年もの特別な訓練を経て数えきれないほどの香料の中から一つ一つを選び、組み立て、ハーモニーを生み出し、特別な一つを作り上げる。
一流の調香師が情熱を注ぎ、愛を注ぎ、手間暇かけて仕上げた特別な作品を毎日身近に感じられるなんて、香水って贅沢ですね。
 
香水の選び方として、お気に入りの調香師で選ぶ。というのも一つかもしれません。
気に入った香りの調香師が分かれば、その調香師が他にどんな香水を世に送り出してきたかネット等で調べることができますね。
複数のブランドで調香師として香りを生み出したあと、独立してフレグランスメゾンを立ち上げている調香師さんもいらっしゃいます。
 
 
 

7.上質な香りを知る~フレグランスメゾンの贈る香り~

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フレグランスは①デザイナーズフレグランス②メゾンフレグランスの2つに大別することができます。
 
①はシャネルやディオールに代表されるようなファッションブランドがファッションの一部として展開している香り。
②は比較的小規模でかつ歴史がある(または有名調香師が手掛けた)香水専門のメゾンが展開している香り。
 
それぞれに良さがあるため、どちらのほうが良い、という比較はできませんが、私個人は流行やファッションに左右されず、一貫したメゾンの世界観を持つフレグランスメゾンの香りが好みです。
また、メゾン系のフレグランスは購入できる場所が限定的であったり、ディスカウントショップなどで安く販売されることがないので、人と被りにくいという利点もあります。
天然香料をふんだんに使用している等、香料にこだわりを持って作られた香りが多いため、いわゆる「よくある香り」だったり「安いっぽい香り」がなく、「香水っぽい香りが苦手!」という人にこそ是非メゾン系のフレグランスを試して欲しいなと思います。
最後に今私がお気に入りでよく使用しているフレグランスメゾンの香りをいくつか紹介しておきます^^

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 こちらは1828年にパリに誕生し創業190年以上の歴史を持つ老舗「ゲラン」のヴォワイヤージュというシリーズの「モスクワ」
旅をイメージしたシリーズで、他にも「シャンハイ」「ニューヨーク」「トウキョウ」等がありました。ベリーバニラキャラメルの香りが使われたグルマン系の香り。
現在は廃盤となってしまったようですが、冬になるとつけたくなるふんわり甘い香り。

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こちらは1991年、マリー・エレーヌ ロジョンによって創立された“バラの香り専門”のメゾンブランド「ロジーヌ パリ」「ヴィーヴ・ラ・マリエ」
喜びいっぱいの花嫁の心を映すことをテーマに、純白のボトルに詰められた、“ヴィーヴ・ラ・マリエ”の香りは、人生でもっとも美しい一日の忘れえぬ感動を永遠に保つ想いを込めたフェミニンで繊細な香り。
(※ストーリーの説明文は伊勢丹オンラインストアさんから引用)
バラの香り専門、とはいってもこちらはオレンジブロッサムを使ったソフトフローラル。白いボトルにぴったりの石鹸のような優しい香りがとても気に入っています。
f:id:mimi1978:20180915224828j:plainこちらはジョーマローンロンドンネクタリンブロッサム&ハニー
ネクタリン、ピーチ、カシス、それに繊細な春の花をアカシアの蜜のノートに溶けこませた、甘く、明るく、遊び心のある雰囲気です。
ピーチシャーベットの繊細な味にインスピレーションを得たフレグランスです。 
 (※ストーリーの説明文は伊勢丹オンラインストアさんから引用)
まさにピーチシャーベットの香り。甘めでもしつこさが全くないので一年を通してつかえるところが気に入っています。他にも紹介したいメゾンや香りはたくさんあるのですが、きりがないのでこの辺でやめにします。
 


8.まとめ~ぴったりの香りは自分を後押ししてくれる存在に~

自分を表現する一つの手段としての「香水」という選択肢
朝に似合う香り、昼に似合う香り、夜に似合う香り
ひとくくりに「香水」といっても本当に様々なものがあります。
またつけ方やつける量によって、香り方はどのようにでも調節できます。
以下の5点が今日のまとめです。
 
①身につける際は適切な量を適切なつけ方で。「香害」と言われてしまわないようにTPOをわきまえる。
 
②香水にはそれぞれのストーリーがある。「ストーリーを知って身に纏う」ことでその香りの世界観をもっと楽しめる。
 
③香水は濃度によってEDC,EDT,EDP,PARFUMに分類される。価格や香りの持続時間も様々。香り方もそれぞれ違うので自分に合ったものを。
 
④香水の楽しみ方は人それぞれ。なりたい自分をイメージしてとっておきの一本を見つけるもよし。毎日服を選ぶように気分に合わせて使い分けてもよし。
なりたい自分のイメージにぴったりの香りが見つかれば、それは理想の姿への後押しをしてくれる少し魔法のような存在に。
 
⑤フレグランスにはデザイナーズフレグランスとメゾンフレグランスがある。流行やファッション性を求めるならデザイナーズ。フレグランスの独特な世界観に浸りたいならメゾン系がおすすめ。
 
もし今まで食わず嫌い的な感じで香水を避けていたなぁ~という人がいたら、ぜひ試してみてもらえたらとっても嬉しいです!